『節水』
　蛇口という蛇口にそんな張り紙がされた夏の日。
　麦わら帽子をかぶって歩く二人の少年が通りすがりに口を開く。
「水が足りなくって困ってるってんだからさぁ。
ただの遊びのプールが無駄水使うのやめれば
全部解決するんじゃないのか？」
「そうだなあ」
　そこへ、入り口のそばにいた男。
「ははは、少年、何を言う。君らにとってはプールは遊びだが、
わたしにとっては飯の種。しかもプールの水は
一か月は交換せずに消毒して使いまわすから
環境にも優しいんだよ」