「それではそろそろ、ビンゴいきまーす」
飲めもしないけど付き合いで出席したコンパが
そろそろ終わりに近づいてきた。
「じゃあ、わたし帰るね」
ビンゴの紙を配るざわざわに紛れて立ち上がると、
「あれ? 帰っちゃうの?」
気付いた幹事グループの一人が訊いた。
「うん。いてもしょうがないし」
「え〜。どうして? 景品だってけっこういいのもあたるんだよ」
本当に残念そうな顔。なんのきらいもなく
いちいち声をかけてくるこの子は結構好きで、
「うん。でもね」
わたしはうっかりこぼしてしまった。
「一人以外の全員になにかあたる場面でも、
どうせわたしが残りの一人なんだ」