休日の午前二時過ぎ、友人から電話がかかってきた。
「なあ、すごいぞ! 大発見だ」
興奮した声。
「なんだ、また彗星でも発見したのか?」
「いや、違うよ」
ごくりとつばをのみこんで。
「空にはこんなにたくさんの星がある。
その中のこの星にだって数え切れない人がいる。
毎日何百人とすれ違う中で、誰かと誰かが出会ってひかれあって、
お互い好きになるってすごいことじゃないか?」
「あ〜、おまえと彼女な」
「なんだよ、驚かないのか?」」
なによりお前の変わりようが驚きだけどな。
「だって、ほとんど奇跡だぞ」
もどかしいような、じれったいような言葉。
「ああ、確かにな」
だからこそ、そんなもんおれの身に起こったことはないんだし。
「なんだよ、なんでわかんないかな」
「いや、わかってるからそのへんで勘弁してくれ。
……さもなきゃ」
「さもなきゃ?」
「――泣くぞ」