0924
2006-09-29
ツいてる!
 飲み会の余興で罰ゲームに参加させられた。
 負けた人間十五人くらいで一つだけはずれのあるものを食べ、
だれがそれを食べたかを他のやつらがあてるものだ。
 あてられた人間はさらに罰ゲームということで
微妙な緊張が高まり――
「じゃあ、どうぞー」
 幹事の声に、それぞれ手にしたまんじゅうを口に入れる。
 と、すぐに。
「おぼぉおおおっ!」
 叫びとも悶えともつかない声を上げて、
横の知り合いが膝をついた。
「ふっ、ふざっ……こっ、食いもん、じゃ……」
 喋ることもできないくらいにむせるそいつに水が渡されると、
一気にあおって一息。
「くそー! なんでおれなんだよ。絶対おまえだと思ってたのに」
 おれか?
「だいじょうぶ。おれはお前だと信じてた」
「なんでだよ」
「そりゃあ……」
 座の向こうにいる男を指し、
「なんでも運のいいあいつは、『ついてる』。
おみくじでもなんでも悪いのは引かない。
反対におれはいいこともないし、基本的に『ついてない』」
「おれだってそうだよ」
 そういうあいつにおれは言う。
「いや、お前には積極的に悪い事が起こる。
むしろ『憑いてる』んだよ」