刑務所において矯正に必要な教育を受けさせずに
模範囚として退所させていたことが次々と明らかになった。
それを問われると、ある刑務所長は言った。
「受刑者たちが早く社会に出るために必要だからやったまでで、
何一つ後ろめたいところはない。
出所したものたちには何の罪もないし、
すでに出所時期が決まっている者たちには
これが元で出所しおくれることがないよう、
寛大な処置をお願いしたい」
これも加害者のみの権利を偏重する社会が生んだ
悲しいゆがみだと、どこかの大学教授やらいわゆる有識者やらが
もっともらしく語るだけで
きっと誰も罪に問われず終わるのだろう。
わたしにできることといえば、ただため息をつくだけだった。