彼との待ち合わせに思いっきり遅刻してしまった。
最初は五分遅れくらいで済むはずだったのに、
一本遅れで乗った電車は事故のせいで線路の途中で立ち往生。
こんなときに限って携帯電話は忘れちゃうし……。
「ごっめーん! 遅れちゃった」
階段を駆け上り、駅前の彼にあやまると、
「いや、だいじょうぶ」
いつもと変わらない、疲れた様子で手を振った。
「なんで? 怒ってないの?」
「待つのは慣れてる。それに絶対来るとわかってたからね」
「慣れてる? いつもなに待ってるの?」
すると彼はため息をついて。
「眠り、さ」