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2006-11-02
やったもん
 ある日新聞に、元暴走族の男の
はなばなしい活躍の記事が載っていた。
 その男の言葉。
「おれはかつていろいろばかをやった。
けんかもしたし盗みもしたし、
警察にも世話になった。でも今は心を入れ替え、
こうして成功したんだ。今自分には価値がないと思って
自暴自棄になってる奴らに言いたい。
がんばれば誰だって成功できるんだって」
 その日の新聞の片隅、無理心中を完遂した
老いた親子の死亡記事が小さく載っていた。
 殺された男は人生をまっとうに、
はめをはずすこともなく生きてきたが、ある一日、
暴走族にからまれひどい傷を受けた。
 それがもとになり仕事を失い、新たに雇われることもなくなり。
自らでは食い扶持を稼ぐことすらできずに
年を重ねていく息子にその親は悲嘆し、
追い詰められて息子ともども命を絶ったのだった。