「なあ、今度の学級新聞、なに書く?」
両足を机に乗せて、
放課後の教室で二人の男子が考えにふけっていた。
「なに書くって……なに書くんだよ。
おれに訊かれてもなあ」
「なんかないのか?
こう、刺激的なやつ」
訊かれた男子はため息を吐く。
「おれが知るわけないだろ。
なんならいっそ作っちまうか?」
「そりゃまずいだろ。……って、待てよ」
「なんだ、どうした?」
彼は含みのある笑みを浮かべた。
「作らなきゃいいんだ。まかせろ!」
次の日。二人は珍しく朝早く登校して、
教室に女子が入ってくるのを待っていた。
そして一人目。
「よう! 今日は何色のパンツ履いてんの?」
顔を見るなりかけられた声に、
その子は顔を赤くして自分の席に向かう。
だが彼らはしつこく訊ねた。
「なあなあ、何色のパンツ履いてんだよ」
でもその子は答えられず、
恥かしそうにうつむくだけ。
「なんだ、無視かよ」
彼らは見切りをつけて次の女子を待った。
そうしてつぎつぎに声をかけていき、
とうとう最後の女子に声をかける。
「よう! 今日はパンツ履いてるか?」
ぱしぃいん!
するどい平手が彼の頬に炸裂した。
「いってえな! なにすんだよ!」
頬を押さえて叫ぶ。すると彼女は、
「なにって、あんたが
ばかなこと言ってるからでしょ!」
そう言い捨てて、肩をいからせ立ち去った。
その後、できあがった新聞の見出しには
こう書かれていた。
『あいさつを返せないこども急増!
一人はいきなり暴力で返す』