0024
2003-11-30
先見の明
「大統領」
広報部長は傍へと寄り、
大統領に向かって言った。
「支持率があまりかんばしくありません。
このままだと次の選挙はすこし厳しいかもしれませんね」
しかし表情をくずさない大統領。
「それでどうする?
君のことだ、もう手は考えてあるんだろう?」
「ええ」
彼はうなづく。
「前線に行くというのはどうでしょうか?
士気も高まりますし、支持も集まるでしょう」
「却下だ」
大統領は言った。
「なぜです?」
つまらなそうな顔をして、
「われわれのターゲットは選挙の時に生きている人間だよ」