0049
2005-12-29
差別
 ある日、部長に呼ばれました。
 自分の席で偉そうに座りながら、
せせら笑って言う言葉。
「役職者の一割は
女性にしなけりゃならなくなったせいで、
来年度から君を係長にするという話があるそうだ。
差別反対が実った形だな、よかったじゃないか」

 鼻で笑いながら肩をすくめる部長に、
「ばかにしないでください。そんな話はお断りします」
「なぜだ?」

 平等の『び』の字も知らない古い人間。
わたしは誇りを持って口にする。
「役職につけるなら、
性別でなく能力を理由にしてください。
能力があるからではなく、
ただ女性だからというのなら、それは――」