0055
2006-01-11
専門病院
 とある大病院の一室。目の前に座る医者は言った。
「紹介状を書きますので、
そちらの病院で診てもらっていただけますか?」
 頭を殴られたような衝撃。

「そんなに悪い病気なんですか?」
 思わずたずねると医者は難しい顔をし――
「いえ、病気自体は難しいものではなく、
時間はかかりますが回復するでしょう」
「なら、どうして?」
 すると白衣を着たその男は。
「申し訳ありませんが、うちは……
すぐ死ぬわけでなく、かといって完治するわけでもなく、
高い薬を使いながらだらだらと生き続けるような、
お金になる患者の専門病院なんですよ」