0120
2006-02-08
結果論
 ――いけない、ねぼうした!
 ばっと着替えて手櫛をちょっと。軽く歯磨き顔洗い。
「いってきまぁす」
 かばんをもって飛び出した。
 また遅刻なんてしちゃったら、
先生からまた思いっきり怒られるし、
おかあさんにも連絡行って夜のテレビも止められちゃう。

 走って走って踏み切り近く。たくさんの人がたまっていた。
 人をかきわけそばまでいくと、
近くに止まっている電車のおしり。
 ……止まってるなら開ければいいのに。
 動いてないのを確認して、棒をくぐって駆け出した。
 すこし走ると電車の陰から、なにかが――

 ――どん。
 わたしは、上の方からすべてを見ている。

「なんでそんなに急いだんだ」
 かつてわたしをひどく叱った先生がつぶやいた。
「死んじゃうくらいなら、遅刻すればよかったのに」
 テレビをとりあげたおかあさんが悲しそうに嘆いた。

 わたしは、上の方からすべてを見ていた。