――いけない、ねぼうした!
ばっと着替えて手櫛をちょっと。軽く歯磨き顔洗い。
「いってきまぁす」
かばんをもって飛び出した。
また遅刻なんてしちゃったら、
先生からまた思いっきり怒られるし、
おかあさんにも連絡行って夜のテレビも止められちゃう。
走って走って踏み切り近く。たくさんの人がたまっていた。
人をかきわけそばまでいくと、
近くに止まっている電車のおしり。
……止まってるなら開ければいいのに。
動いてないのを確認して、棒をくぐって駆け出した。
すこし走ると電車の陰から、なにかが――
――どん。
わたしは、上の方からすべてを見ている。
「なんでそんなに急いだんだ」
かつてわたしをひどく叱った先生がつぶやいた。
「死んじゃうくらいなら、遅刻すればよかったのに」
テレビをとりあげたおかあさんが悲しそうに嘆いた。
わたしは、上の方からすべてを見ていた。