0129
2006-02-09
放任主義
 土煙をあげ、草木も枯れた大地を長い車が走る。
「それにしてもあわれだよな、おれたち」
 肌寒い車の中、男の一人が言った。
「なんだい、どうした」
 もう一人の男がききかえすと、
「ゴミどもにまわす金を使ってこんなに楽しんじまってよう」
 それを聞き、男は笑う。
「ああ、まったくだ。募金さまさまだな」
 手にした肉と酒を一口。残りを外に投げ捨て叫んだ。
「あわれでかわいそうな神の子に愛の手を!」