0145
2006-02-15
人生の教訓
 駅の前で待ち合わせして、白い息を弾ませてやってきた友達。
「ごめーん、おまたせ」
 いいよと手を振って、目にした胸元。
「あはは、コート、ボタンかけちがえてるよ」
「えっ? あう……」
 ボタンをはずして留めなおす友達を見ながら。
「はじめはささいなボタンのかけ違いが、いつか大きな問題に」
「なるかと思ったけど」
 コートのすそを持ち上げると、
なぜか最後のボタンは正しい組み合わせ。
「なんで?」
「途中、飛ばしてとめてたみたい。
『ボタンのかけ違いがあっても、
最後はうまくとまることがある』、
いい人生の教訓だね」
 にこにこっと言う彼女にため息。
「……あんたの人生はどんなになっても幸せに終わる気がするよ」