0153
2006-02-16
便秘
 大学を卒業してから一年。
お互いの近況報告もかねて、女同士での集まり。
 どこに行くかと相談していると、
親友が居酒屋に行った事がないと言うので
せっかくだからと流れ込んだ。

「いらっしゃいませ〜」
 ざわざわとした居酒屋独特の雰囲気に、店員の掛け声。
その子は初めての場所にきょろきょろと
あたりを見回しながら席に着く。

 すぐに運ばれてくる小鉢と伝票。
オレンジっぽいこのぬめっとしたものは、イカのなにかかな?
 おなかがすいていたのでお通しだけ食べ始めるわたしの横、
親友は小鉢を見て、伝票をひっくり返して。
そして、わたしの口元をじっと見た。
「な、なに?」
 訊ねると、
「それ、食べて平気なの?」
 心配そうに訊く。
「あはは、大丈夫。これは席代みたいなものだから、
最初に絶対出るんだよ」
「でも……」
 恥ずかしそうに口ごもり、
「お通じって書いてあるよ」