0185
2006-02-27
カエル
 ある日、家族でデパートに行ったら、
かわいいカエルの置物を見つけた。
「ねえ、おとうさん、このカエル買って〜」
 おとうさんはわたしの指差すほうに目を向けて、
いやそうな顔をした。

「これ、カエルなのか? みっともないから却下」
「何で〜。かわいいじゃない。買ってよぅ」
「だめだ。ほら、帰るぞ」
 背中を向けて歩き出そうとする。
「買えるって言うんだから買って〜」
 すると振り返り、
「カエルの古称がわかったらな」
「え? なにそれ」

 わたしの言葉に、にやりと笑うと
おとうさんは足を踏み出しながら言った。
「カエルがカワズさ」