仕事も特になく、暇をもてあましてるだけなら一緒に、と
友人にすすめられるままに市民講座に通うことになった。
まずは講座の教師が書いたというテキスト、
『イヌにもわかる埋蔵金発掘講座』を購入。
イヌにもわかるくらいなら、
すごくわかりやすくかいてあるのだろう。
だが、それほどよくもわからない書き方に、
講座のあとで教師に訊ねに行った。
「あのう、質問があるんですけど」
おれが言うと、中年講師は尊大に口を開く。
「テキストは読みました?」
「ええ、読みました」
「イヌにもわかるテキストで訊くということは
イヌ畜生以下ということですが、なにか質問でも?」
うわ、きたねえ!
「なら、このテキスト読ませて
イヌが理解するかやってみてくださいよ」
おれが言うと、
「いいですよ。ただしわたしはイヌ語がわからないので
翻訳はおまかせします」