「うちの会社は、育児休暇も取り放題だぞ〜!」
どこか壊れたような顔で課長が言った。
十二人でまわしていたうちの部署。
一人が育児休暇を取っている間に、
もう一人も育児休暇に入ってしまった。
当然その分の仕事が分散されて、
わたしたちは日々追い立てられるように
仕事の処理をしていた。
「課長」
何か月かして体も悲鳴をあげ始め、
わたしは課長の前に立つ。
「育児休暇はいいですが、
その間にあたらしく人を雇ったりしないんですか?
いまのままじゃ無理です」
すると目の下に黒々としたくまが
消える事のない課長が顔をあげ、
「新しく人を雇うだけの金がどこにある?」
どこか吹っ切れたような顔で笑った。
「そだろ? だがな、みんな遠慮しなくていい。
うちの会社は、育児休暇も取り放題だぞ〜!」
どこか壊れたような顔で課長が言った。