春の終わり、そしてはじまり。
わたしたちの卒業式が体育館で行われていた。
だらだらとした、無駄に格式ばった式も
けじめをつけるのには大切なのだろう。
だれも騒がず、落ち着いた様子で時間が流れていく。
でも、式が終わりに近づき、
卒業生代表で各クラスの子が話しているとき……。
代表の女の子のひとりがいきなり笑い出した。
はじめ、笑いをこらえるように
声を震わせていたのがだんだん言葉も出なくなり、
最後はまともに喋れないくらい、肩を揺らして笑い始める。
……ええ〜!
たしかにこう厳かな空気で、
いつもならふざける面々がすました顔をしているのは
笑っちゃいそうにもなるけど、こんな場面でそれはどうかなあ。
けれど、舞台の上ではその笑いが伝染したように、
代表四人が次々と噴き出し始めた。
言葉も切れ切れ、肩も震えているのがわかる。
わたしはあきれるよりも、ひたすらひやひや。
いつ先生たちが怒って中断するかと胃が痛い思いで見つめていた。
それでもなんとか挨拶が終わり、
席に戻ってくるところに呼びかける。
なに笑ってたの?
言う前に振り向く顔は、目も赤く。頬を涙が伝わっていた。
「あ、ううん」
首を振るわたし。
あれは笑ってたんじゃなくて、泣いてたんだ……。
そんなこともわからなかった自分がなんとも悲しくて、
わたしはすこし、泣きたくなった。