結婚した友達の家に招かれて遊びに行くと、
わたしたちが話している間にこどもがぴょこっと顔を出した。
「この子ねえ、算数が嫌いで困ってるのよ」
友達は娘の頭を撫でながら困り笑い。
「だいじょうぶ。わたしだって
算数も数学も嫌いだったのに、
今や設計なんてやってるくらいだし。
きっとどうにかなるよね〜」
「ね〜」
わたしといっしょに首をかしげながらにこにこと笑う子。
ぱたぱたとどこかに駆けて行く。
「ねえ、数学、得意じゃなかった?」
訊ねる友達に、
「うん、得意だったね」
「嫌いだったの?」
「うん、嫌い」
「……どこが?」
わたしは片手を開いてひとこと。
「問題文が片っ端から命令してくるとこ」