「〜〜というわけで、桃から生まれた桃少年は
おともの犬猿雉と力を合わせて鬼たちをひりひりさせました。
そして差し出された金銀財宝を持ち帰り、
ひとりじめして豊かな老後をおくりましたとさ。
めでたしめでたし」
娘を見ると、さっきと同じ難しい顔のまま。
「どうしたの?」
たずねると、
「これ、変だよね」
首をかしげながら言った。
この年でおとぎ話の矛盾をつきはじめるなんて、
将来に批判ばっかりで建設的な意見は一切述べない
能無し評論家にでもなるのかな?
「どこらへん?」
複雑な気持ちで娘を見ると、
「ん〜。これ、犬でしょ」
表紙の絵をぐりっと指して、
「これ、猿でしょ」
「うん」
「これ、鳥じゃないの?」