銃を持った二人の男が羊の群れを動かしていた。
一頭の羊は思う。
『みんなでいっせいに飛びかかれば、
あいつらを倒して自由になれるはずだ』
ちょうどそのとき、横の羊も思った。
『みんなでいっせいに飛びかかれば、
あいつらを倒して逃げられそうだ』
そして群れすべての羊がそんなことを思っていたが、
また、さらに思った。
『でも、もし自分だけ飛びかかって
撃ち殺されてもつまらないな。
もしみんなで襲いかかっても、
自分が生きていられるとも限らないし』
羊たちは促されるままに屠殺場に向かい、
みんな肉の固まりになった。