テレビを見ていたら、国の最高級のごみ人間が
またなにかの容疑で画面に映っていた。
報道関係の人間が言葉を求めると、答えて言う。
『記憶にございません。
そのような事実はなかったと認識しております』
「ねえ、これってやってるんでしょ?」
同じくテレビを見ている父に訊ねると、
「まあ、たいていしばらくすればやってたとわかるだろうな」
「これ……嘘ついたら、ついたことを後悔するほど
罰を重くするとかできないの?」
「できないな」
めずらしく父が言い切った。
「どうして?」
すると目を合わせ、言った。
「だれが法律を作ると思う?」