「これ、なんて書いてあると思う?」
お昼過ぎに届けられたはがきを見て課長が出した声に、
課の面々が集まってくる。
わたしも気になって見に行くと、
そこにあるのは毛筆で書いたような文字。
なんとなく達筆っぽい雰囲気にあふれているものの、
ただうねうねしているだけで、まったく判別はできなかった。
そこへ入ったばかりの女の子がのぞきこんで、ひとこと。
「へたですねえ」
「ええっ?」
これを見てへたなんて恐れを知らない……。
周りも多分そんなことを思って彼女を見つめると、
「字だけ上手だって、それを読める人が
いるかもわからないところに出すのはへたの極みです」
そこらへんにあった紙をとって
わたしにも読める字で解読文を書いて、横に置いた。