とある国で社会主義政府が倒れ、
突然の民主主義が流れ込んできた。
おめでとう、おめでとう。
すべてに上限をもうけ、やる気も資本も頭打ちにする
社会は倒れた!
資本主義の国々や周りの人々が
口々にはやしたてるのを聞いていた男は、
ふらりと外に出て広い畑を眺めた。
「これからはいつ耕し、いつ種を撒き、いつ刈り取ればいい?」
荷物も何もなしに、ただ家から放り出された気分。
「たくさんのテレビ、たくさんの車、
たくさんの冷蔵庫の中から、なにをどうやれば
自分が使うものを選べるんだ?」
彼はがくりと膝をつき、叫んだ。
「時間はかかっても社会主義なら自分のものが与えられた。
おれは……それで充分だったんだ!」