「さーあ、みんなで楽しいことしましょうね」
実習先のこどもたちに友達が言うと、中から声があがった。
「なんで楽しいってわかるの?」
「楽しくなかったら変なの?」
「やって楽しむのはやるほうでしょ?
やらせるほうの判断を押し付けないでよ」
あとずさってまごつく友達に、大人びた口調で頭を振ると、
「主体性が侵されたよ。
楽しくなかったら自分が困るという引け目の裏返し?
それとも絶対楽しいという傲慢?
ぼくたちから感じる力を奪っているのは
そういう大人なんじゃないの?」
友達はがくりと膝をつく。
「う……。ごめんなさい」
「まあいいよ、先生も大変だろうしさ。
さ、ほら。なにかやるならやろうよ」
訳知り顔でこどもがぽんぽんと肩を叩いた。