二人の男が砂漠で干からびかけていた。
「なあ……」
一人の男が言った。
「おれたち、ここで死ぬのかな」
「そうかも、しれないな」
もう片方が答えた。
「いやだぜ、こんなところで死ぬのは」
だが、その言葉には無言を返し、
それから小さく肩を揺らして笑う。
「なんだろうな、おれは。
こんなときにでも、もしかしたらなにか奇跡が起こって
生き延びられるかもしれないと思ってる。
これが災厄の壺の最後に残った希望ってもんなのかな」
「いや……違うな」
一人がぽつりとつぶやいた。
「すべてから見捨てられ、何もできない状況。
そんな中で人間が出来ることと言えば……
希望を持つことだけなのさ」
小さな息に砂を軽く揺らしながら、男はゆっくり目を閉じた。