0427
2006-05-11
密かな自信
 大学でコンパに誘われ、断りきれずに出席した。
 でも所詮数合わせ。真ん中でちやほやされる子とうらはらに、
わたしともうひとりはひっそりと端で咲いている。
「あいかわらずすごいよねえ、あの子」
 そこらへんにある適当なものをつまみながら
横の子に声をかけた。
「人生で一度くらい、もててみたいなあ」
 するとその子は顔を上げ、
「ん〜、わたしはいいかな」
 小さく眉を寄せて笑った。

「なんで?」
「だって……。もてるってなに? 
たくさんの人にもてはやされること?」
「まあ、そだね」
「なら、何も言われなくても、
ずっとそうだって気づかなくても。
ひとりにだけでも深く思われていたら――
そっちのほうが、わたしは嬉しい」
 そういって目を細めて優しげな顔でほほえんだ。
「え? じゃあ、もしかして?」
 訊くと、はにかみを浮かべるその子。
「いいなあ、うらやまし〜」
 自分の身をかえりみて、わたしはちょっぴりため息をついた。