大学でコンパに誘われ、断りきれずに出席した。
でも所詮数合わせ。真ん中でちやほやされる子とうらはらに、
わたしともうひとりはひっそりと端で咲いている。
「あいかわらずすごいよねえ、あの子」
そこらへんにある適当なものをつまみながら
横の子に声をかけた。
「人生で一度くらい、もててみたいなあ」
するとその子は顔を上げ、
「ん〜、わたしはいいかな」
小さく眉を寄せて笑った。
「なんで?」
「だって……。もてるってなに?
たくさんの人にもてはやされること?」
「まあ、そだね」
「なら、何も言われなくても、
ずっとそうだって気づかなくても。
ひとりにだけでも深く思われていたら――
そっちのほうが、わたしは嬉しい」
そういって目を細めて優しげな顔でほほえんだ。
「え? じゃあ、もしかして?」
訊くと、はにかみを浮かべるその子。
「いいなあ、うらやまし〜」
自分の身をかえりみて、わたしはちょっぴりため息をついた。