昼間、バスに乗っていたら、新米ママさんと
先輩ママさんらしい三人がわたしの後ろの長い席で話し始めた。
「それにしても……こどものしつけってどうすればいいか、
いつも悩んじゃいます」
新米ママさんらしき人が言うと、
「そう? そんなの、がんがんしつけちゃえばいいじゃない。
名前呼んだらすぐ来るとか、だだこねてもつっぱねるとか。
いうことをきかなかったらごほうびはなしとか。
そうじゃなきゃすぐつけあがって、
自分が一番偉いなんて思うようになるんだから」
先輩ママさんらしき一人が応えた。
するともう一人の先輩ママさんは、
「そう? 本当に大事なことだけは何度も繰り返し教えて、
あとはかわいがるだけでいいと思うけどなあ。
一人でだめなときとか寂しくなったときとかに寄ってくるから、
そういうときはいっぱい抱きしめれば、
また自分で歩くようになるよ。大切なことは、
意外と自分で学んでる」
「ええ〜、うーん」
悩む新米ママさんの声。
思わず振り向いて、わたしは言った。
「あなたは犬好きでしょ。そしてそちらのあなたは猫好き」