0475
2006-05-29
決めつけ
 さてさて、今日も電話でおしごとだ。
 昨日残した操作案内の折り返し電話をしなきゃ。
「あ、お忙しいところ、失礼いたします。わたくし……」
 喋り始めると、言われた。
「いや、忙しくないよ。おはようさん」
「あ、おはようございます。長らくお待たせいたしましたが」
「いや、別に待ってないよ。今日の朝にかけるって話だったし」
 うぅ。なんかいちいち変なつっこみが入るよぅ。
「それでは、操作の案内をいたします。
お手数おかけしますが、実機の操作を……」
「いや、教えて欲しくて電話したんだし、
それで使えるようになるならこんなの手数でもなんでもないよ」
 あ、あうあう……。
 そして、なんとか案内がおわった。
「いやあ、どうもありがとう。
あなたの説明ははわかりやすいけど、
決め付けが多いのが珠に瑕だね」
「は。さようでしたか。申しわけありませんでした。
それでは失礼いたします」
 ぷは〜。
 悪い人じゃなかったけど、なんだかよくわからないところで
つつかれた気がする。

 それから一日の仕事を終えて家に帰ると、
夫の両親がなぜか中にいた。
どうやら訪ねてきたところを娘が中に入れたらしい。
「いきなりでごめんなさい。でもだいじょうぶでしょう?」
 まあ、だいじょうぶですけど。
そういう訊かれ方はしたくないなあ。
 へとへとだったけど、なるべく笑顔でもてなしの用意。
 ありあわせながらがんばって食事を作り、一緒に食べ終わると、
「ごちそうさま」
 二人の言葉に、娘が誇らしげに言った。
「おそまつさま」
 そりゃあ確かに粗末だけど。でも……
「こら、あなたが言うなぁ」
 ぺにょっと娘のおでこをつついた。