「ねー、おかーさーん」
　軽い足音を響かせて、こどもがパソコンの前に座る
母親の元に駆け寄ってきた。
「これ教えて〜」
　差し出されるノートに目をやると、母親は
「自分で調べなさい。人に訊いてばかりじゃ身にならないでしょ」
「え〜」
　こどもはしぶしぶというように戻っていく。
「……ふう」
　母親はパソコンに向き直って大きくため息をついた。
「えーと、なんだっけ？　ドラッグ？　インストール？　
ドライバ？　わっかんないなあ」
　疲れた目で画面をにらみ、手をのばす。
「もういいや。メーカーに電話しちゃえ」