0527
2006-06-10
王の中の王
「あたしこれきらーい」
「わたしもー」
 駅の構内でハンバーガーを食べる少女たちが
中からピクルスを引き剥がし、適当に紙に包んで捨てた。

「……はは」
 暗いゴミ箱の中、捨てられたピクルスは
ため息まじりの湿った笑いをこぼす。
「ジャンクフードの中の、さらにジャンクか。
クズの中のクズだな、おれたちは」
 ひとつがつぶやくと、
「同じジャンクでも電子部品なら宝物になることだって、
中にはまた使ってもらえるものだってあるのにな」
 もうひとつが応え、しばらくの沈黙。
 だが、胸のうちにあるものに突き動かされるように叫んだ。
「おれたちはまだ終わりじゃない! もう一度でいい、
チャンスを与えて欲しいんだ!」
 その言葉はこもった空気に消え、静寂だけが残った。