『意見ある者は話を聞く。訴え所まで来るがよい』
と、お上が御触れを出した。
その下には小さい文字で、
『ただし、訴えを起こした者は
その皮を生きたまま寸刻みにして剥がし、
爪の間に楔をうちこみ、指を折り、やすりでひき、
油であげた自らの肉を食わせ、目にようじを刺し、
水を抜き、抉り出してかわりに虫をつめる』
以下つらつらと拷問の内容が続いていた。
「ごらんください、殿」
仕えの一人が言った。
「異議ある者は申したてよと言うのに誰一人として参りません。
殿の御統治に不満があるものなど
一人としているわけがないのです」