『命の次に大切なものは?』
道徳の授業で生徒に投げかけて、
書き終わったところで発表してもらった。
お金、家族、愛……。
その子ならではの答えにいろいろ考えさせられる。
そして留学生の子の番になると、彼は誇らしげに答えた。
「爆弾です」
どっとわく教室に、本人も照れたように鼻をこすって言い直す。
「爆弾のほうが命より大事でした。
……じゃあ、死んだあとの名誉、です」
冗談を言っていない純粋な目に笑いは
すっとひいていき、わたしは思わず訊ねた。
「待って。どうして爆弾が命より大事なの?」
すると彼は、
「われらが神のため、偉大なる指導者が
命を使えとおっしゃるとき、ぼくは誤たず
爆弾を持って死ななければならないからです」