彼女を、殺した。本当はそんなことしたくなかったけど、
おれを捨てて他のくだらない男とつきあうなんて許せなかった。
公衆電話から呼び出し、見られないように
彼女を車に載せて死体を始末したあと
すぐ別の場所で他人に見られておいた。
これでおれが関わったとはだれにもわからないはずだ。
だが、彼女の死体が見つかってすぐ、家に警察が訪ねてきた。
どうせ形だけの訪問だと思ったら……
一枚のメモの写真を見せられた。
日付、時間、おれの名前、話の内容、待ち合わせ場所。
そんなのが走り書きながらもきっちりとしたためられている。
「これ、は?」
愕然としながらつぶやくと、
「あのかた、かかってきた電話ごとに
きっちりとメモしていたんですよ」
その公務員は言った。
「はは」
思わず力が抜けて、玄関に膝をつく。
「さすがコールセンター勤務、か」