0597
2006-06-27
読解力
 チケットをもらったとかで、
彼女に誘われて映画の試写会に行った。
 正直内容にそんなには期待していなかったものの……
見終わってすぐに席を立つ気にはなれなかった。
「なかなかだったな」
「うん、すごくよかったね」
 神妙な顔からほほ笑む彼女。おれは気分に任せて続ける。
「作りもまたうまかったよな。
話のまぜかたとか、絡んでくる小物とか、
よくぞそこまでってくらい入ってて。
なんだかやられた、って感じがしたよ」
 そこへ、横の通路を歩いていく二人の会話。
「なんかだめだったね〜」
「え〜?」
 思わず耳を傾けると、
「なんで作るときお団子、串に四つ刺してんの? 
ずっと気になってさあ」
「あ、思った思った! 普通三つなのに。変だよね〜」