こども同士遊んでいるのを見ていたら、
おもちゃの奪い合いになったうちのこどもが他の子をひっぱたき、
叩かれた子が泣き始めた。
「こら、なにするの。あやまりなさい」
あわててそばに行き、たしなめると、
「ごめん」
「こら、なにそれ。ちゃんと言いなさい」
するとむずかしい顔を上げて、
「だって意味わかんないもん。
『あやまりなさい』ってぼくにあやまれっていうんでしょ?
じゃあ、『ごめんなさい』って誰に言うの?
ごめん『しろ』って、あやまる方に言うの?
ごめん『なさい』ってなに? ほんとにあやまってるの?』
真剣な目。
わたしは答えた。
「ごめん。おかあさんもわかんない」