ペンキのはげかけた木の柵に、おとうさんがペンキを塗る。
白いペンキに、黄色を混ぜて。
「なんで黄色入れちゃうの? 白だけでいいのに」
おとうさんは にっこり笑って。
「じゃあ、白だけで塗ってみようか」
ちょん。はけを置いたところだけ、まぶしい白。
「ほら、どう?」
それからおとうさんは黄色を混ぜて、上に塗った。
周りと同じ、白い色。
「どうして?」
すると空の上を見て、
「おひさまの色が移ったんだよ。だからペンキを塗るときは、
おひさまが隠れた曇りの日にやるんだ」
「へええ〜」
おひさまのいろ。おひさまのきいろ。ずっと見ていたら、
わたしも黄色になっちゃうのかな?
「せっかくだから、全部真っ白に塗っちゃおうか?」
「うん!」
おとうさんと一緒にペンキを塗って、柵は真っ白。
おひさまのない今日だから、ペンキの色がうつって
二人で一緒に真っ白になった。