0791
2006-08-23
息もの
 おじいさんたちの家に着くと、
おじいさんがまるで映画かなにかのように横になっていた。
 ご挨拶をして、おかあさんが顔にかけられた布をめくる。
 ――おじいちゃんだ。
 本当に寝ているだけのように目を閉じ、ただ横になっていた。
 虫の息かもしれないと思っても、戻した布も動くことはなく、
かけられたおふとんも平らなまま。
「おじいちゃん?」
『ん〜?』
 望んだ声も返らない。
 息をしないおじいちゃんはいきものをやめ、
いきをしないもの、になったんだ。
 そう思っても――息をしなくて苦しくないのか、
すごく不思議な感じがした。