0795
2006-08-25
見て!
 お葬式では、今まで見たこともない親戚が大勢来ていた。
「ま〜! おねえちゃんったらずいぶんきれいになって」
 わたしに声をかけるおばあさん。
 誰だっけ? あいまいに笑いながら考えていると、
「ほら見て。兄ちゃんとこの孫の、おねえちゃん」
 お年寄りたちの中に連れて行かれた。
「おお、美人さんになったな」
「結婚式のとき以来か。すっかりきれいになって」
 どう応えたらいいだろうと頭をかいていると、
後ろから妹が顔を出す。
「ああ、妹かい? ずいぶん大きくなって」
「あのちっちゃいのが、しっかり育ったもんだ」
「いや、大きくなった」
 そんなやりとりの中、わたしより年上のいとこが
おじさんたちと一緒に入ってきた。
「はじめまして、でしょうか?」
 にこやかに挨拶を振りまく彼女。
「いや。法事のときにあったよ。……すっかり立派になったな」
「ずいぶん大きくなったなあ」
「ああ、大きくなった」
 楽しそうにうなづきながら話し合うおじいさんたち。
 ――ぎうぅ。
「いたたたた。なに〜?」
 突然の痛みに振り返ると、妹がむくれた顔をして
わたしの腕をつねっていた。
「なぁに、どうしたの?」
 でも妹は答えずに、その指先に力を込めた。