火葬場の控え室で呼ばれるのを待っている間、
お年を召した親戚たちは次に誰が死ぬか、という話題で
一種異様な盛り上がりを見せていた。
「順番から言ったらおれだな」
くぐもった声のおじいさん。
「あいつにさびしい思いをさせるわけにもいかんし、
長男として早く行ってやらにゃ」
冗談めかしてはいるけれど、冗談ではないようだった。
それは死への怒りでもあり、悲しみでもあり、
都合も思惑もお構いなしに翻弄される
生への諦めでもあるのだろう。
「いいんですよ。父はきっと、先に行った
わたしのきょうだいたちと一緒に暮らしてますから」
母の言葉に、亡き祖父を思う。
親子で一緒に過ごしていて、
そこにきょうだいが来たらどうするのだろう?
家族とそのまま一緒にいるのだろうか、
それとも一緒にいるために来たきょうだいと過ごすのだろうか。
そっと耳打ちしてみると、
「向こうなら、きっとそんなの関係ないのよ」
母は言い、わたしはただ、幸せであればいいなと、
祖父を想った。