0801
2006-08-28
数億分の一の奇跡
夜の飲み屋で向かい合う、片方の男がため息をついた。
「あーあ。なんでおれはこう運がないんだろ。
今までのずっと負け通しだよ」
「なに言ってるんだ」
もう片方の男が口を開く。
「生まれる前、数億の精子が卵子に向かった中で
勝った一匹がおまえだろ」
すると向かいの男は顔を輝かせ、
「そうだよな。そうなんだ!」
だが片方の男は続けた。
「そのときに一生分の運を使い果たしたんだろうなあ」