0802
2006-08-28
独自性
 遊びに行った友達の家、ぼちぼち書き溜めているという
彼女のショートショートを読んでいると、
「最近行き詰って来ててさぁ」
 向かいでぐんにゃりとテーブルに寄りかかりながら口を開いた。
「なんか書いてて、他人が読んでおもしろいのかも
ぜんぜんわかんなくなったし、書いてるものもほんとに
ショートショートなのかもわかんなくなってきた」
「そうなの? わたしは結構好きだけどなあ」
「ありがと。でも、もっとこう……独自性、
みたいなのが欲しいなあ」
「へええ?」
 それから授業中に居眠りするみたいに
テーブルに頭を乗せたまま動かなくなる友達。
 そこで目を移して続きを読み出すと、しばらくしてから
何かに気付いた猫のようにぴくんと頭を立てて、言った。
「ツョートツョート、なんてどうかな?」