0826
2006-09-03
高齢化社会
 算数の授業の導入として、こどもたちに
数のくくりを考えるように話を振る。
「わたしたちは普段、10という数字を基本に生活しています。
たとえば、1円」
 用意したお金を出し――
「10枚集めると、10円とおなじものが買えるでしょ?」
 10円玉と交換する。
「10円玉が10枚集まると、100円。
100円が10枚で、1000円! お札になりました」
 100円を10枚持った手にハンカチをかけて
ひらりとはずせば、お札になった1000円のできあがり。
 目を丸くするこどもたちの前でお金をしまい、訊ねる。
「でも、10個で一まとまりにならないものもあるんだなあ。
なんだか――わかるひと!」

 自分で手を上げながら訊ねると、
「おさけー」
 はしの方から声があがった。おうちが酒屋さんの子だ。
「そう。お酒なんかは12本で、なんていうの?」
「1ダース」
「せいかーい。ほかに、いくつでなにか、言える人は?」
 黒板に書きながら訊ねると、
「時間ー! 60分で1時間」
「うん、いいね」
 出たものを書いていく。
「じゃあ、24時間で1日〜」
「そうだね」
「365日で1年」
「たまに366日のときもあるけど、正解ー!」
「13話で1クール」
「くわしいねぇ」
「80キロカロリーで1単位ー」
「わかっちゃいるけどねえ」
「3人で1高齢者」
「そうだねえ」
 そのまま書こうとして、ふと気づく。
「こら、ちょっと待て」