0869
2006-09-13
消えない烙印
 高校に合格し、喜んだのはいつのことだったろう。
 入ったすぐに色分けされる、『内部』と『外部』。
 中学、高校、大学とつながっているこの学校で、
中学からいる者以外はすべて『外部』と呼ばれた。
 先生との関係、席順、行事の班決め、すべて内部はなあなあ。
知り合いもいない外部の人間は、
彩り程度に脇に追いやられるだけ。

 こんなぬるま湯につかりきった人間には負けたくなくて
必死に勉強した。すると投げつけられる嫌がらせの言葉。
机に落書きもされたし、物も壊され、隠された。
 内部に刺激を与えるために
外部の人間を入れるということだったけれど、
なんてことはない、ただの生贄、不満のはけぐち。
それが学校ぐるみの暗黙の了解だった。
 毎日繰り返されるからかいやひやかし。
それでもくじけそうになる心を奮い立たせて
休むことなく学校に通った。支えてくれるのは、負けたくない、
そんな意地だった。
 そして高校も最後の学年になったある日、
試験もなしに付属以外の大学に入れる推薦枠の募集が出た。
 そこで応募する旨を教師に言いに行くと、言われた。
「ああ、あそこの推薦ね、無理」
「どうしてですか?」
 要件は充分すぎるほど満たしているはずなのに。
 するとその教師はつまらなそうな目をして。
「だって、あなた、外部でしょ?」