0871
2006-09-13
棚のあげおろし
 今期もまた棚おろしの時期がやってきた。
 日々の業務は変わらずあるのに、
備品や在庫の確認なんてめんどくさいことこの上ない。
 いつもの業務に追われる面々にいつ切り出そうかと思いながら、
隣の部署の同期を冷やかしに行く。
「いよう。棚おろしは進んでるか?」
 声をかけると、軽く眉を寄せて答えた。
「いや、まだだ。時間もないし、なんかやりづらくてな」
「なんだ、そんなことでどうする。
棚おろししろって命令が来てるんだから、即座にやるもんだろ。
そんなこと言ってるとやる気がないってみなされるぞ」
 すると驚く顔をして、
「なに? まさかもう終わったのか?」
「いや。手もつけてない」
 あきれたためいき。
「なんだ。じゃあ何しに来たんだよ。
自分のことは棚にあげて偉そうに」
「うん」
 おれは答える。
「おろすばかりもつまらないから、ちょっと上げに来た」