「なんか最近ずいぶん具合悪そうだけど、だいじょうぶ?」
すりきれそうな心で友達に電話すると、訊かれた。
「あんまりよくないみたい。
休みでも休んだ気がしないまま週明けだよ」
「仕事しすぎなんじゃないの? 毎週何時間働いてる?」
「え?」
指折り数えて、その答え。
「今週は五十八時間くらいかなあ」
「あのさあ、それって」
あきれたような、かなしいような声で、
「八時間勤務で一週間まるまる働いてない?」
「そ、そうだったんだ……」
そんなことになってたなんてはじめて知った。
そこで次の日、相変わらず具合の悪そうな上司に言うと。
「おれだって同じだけ働いてるけど、文句は何も言ってないぞ」
答える言葉にわたしは思った。
――言えよ。