田舎の両親から大箱いっぱいのようかんが届いた。
なんでもふと見つけた和菓子屋で買ってみたら
あまりにうまかったのでおれに食わせたいと
力いっぱい送ってよこしたらしい。
実際、うまかった。十本目くらいまでは。
それを超えてからはなんだか食べるのにさえ疲れる始末。
誰かにあげるにも都会だけあって近所づきあいも無いし……。
うんざりしていたある日、牛肉のたたきを見て閃いた。
――そうだ、焼いてみよう!
さっそく一口大に切ったようかんの外側を
鉄板に押し付けてみると、ばちばちと音を立てて焼けていく。
それを全面に繰り返したら外は心地よい歯ごたえ、
中はもっちりとしたようかんという、食べ物ができあがった。
ようかんのたたき! この新しいお菓子を
両親にも味あわせたくて電話すると、言われた。
「それ、きんつばもどきじゃない?」