彼女はボーリングが好きだ。どれくらい好きかと言えば、
彼女から誘われたらそれ以外ないというくらい、
ボーリングが好きだ。
タマを転がしてサオを倒すアレの、なにがそんなに好きなのか。
正直おれにはわらない。
「ね、今度の休み、開いてる?」
電話の終わりに彼女が言った。
「う。ん〜、開いてるよ」
またボーリングかぁ。がっかりしながら返事をすると、
「なによぅ、その言い方」
むくれた声が返ってくる。
「最近会ってもあんまり楽しそうじゃないし。
なんだか冷たくなったよね」
「まさか」
おれは言う。
「なんならおれのハートをボーリングして、
どこまで想いが深いのか、計ってくれてもいいんだぜ」