半年ほど別の支店に赴任していた同僚が
、おれの隣に戻ってきた。
「どうだ? いない間になんかあったか?」
朝。ペットボトルの水を傾けながら訊かれ、
「いや、別に。いつもどおり忙しかっただけ……いや」
答える間にペットボトルで思い出す。
「そうそう。仕事とは関係ないけど、
自販機の種類が色々変わっててな。
ロビー奥の販売機で売ってる水に課長がはまってたぞ」
おれが言うと、
「へえ。じゃあ飲み終わったら買ってみるか」
いかにも楽しみな声が返ってきた。
昼休み。外で買ってきた同僚の弁当の横には、
あの水のペットボトル。
見る前で蓋を開け、口をつけて一気にあおる。
そして、すぐに。
「うっわ、まずい」
なんとか飲み込んだ感じで不愉快そうに口をぬぐい、
「どこがうまいんだ。……はめやがったな!」
おれは満ち足りた気分で言ってやった。
「ちゃんと言ったのに、わざわざ罠にはまるとはなあ」